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地元企業が考えるロングライフデザイン 2011.4.5 @ 大須DECO 石塚硝子編





それでは石塚硝子の説明の方をさせていただきます。
佐々木です。よろしくお願いいたします。
(今回のために、東京から来てくださいました。ありがとうございます。)

まず石塚硝子なんですけれども、愛知県の岩倉市に工場がありまして、岩倉工場というのが本社になっております。
そちらにオートメーションの機械があり、硝子ビンですとか硝子食器を作っています。
もうひとつ、ペットボトルや紙パックの事業も展開しておりまして、ペットボトルの工場もそちらにあります。

歴史はかなり古いんですけれども、1819年(文政2年)江戸時代です。
創業者の石塚岩三郎が、もともと武家だったのですが、長崎に修行に出かけまして、
物を作るのが好きな人で、当時はまだ日本の中で最新の素材だったガラスの技術をオランダ人より習得します。
もともと下総(千葉)の出身なのですが、長崎からの帰りがけに美濃の土田村(どたむら・現在の岐阜県可児市西部)というところで、
ケイ石など、ガラスの素材となるものを見つけ、創業
しました。
創業者ですので、デザインもしますし、ものづくりも営業もしていました。
どんな手段を使ったかはわかりませんが、素晴らしい営業力を発揮しまして、徳川家に製品を買い上げてもらうようになり、世の中に認められていきます。
当時は金魚玉、これは風鈴みたいなものなのですが、また医療に使うものなど、小さなものからはじめまして、いろいろなガラスの製造をやってきております。
1869年ちょうど大政奉還の年、初代岩三郎が永眠してしまうのですが、
新撰組が活躍していた時にガラスをやっていたという、特異な方なのではないかと想像しています。

2代目が文左衛門、家業を継承しまして、今まではお武家さまに献上していたものを、大政奉還もあったということで、
庶民のためにガラスを変えていこうと製造を発展させていきます。
1888年、市制がひかれて間もないころなんですが、名古屋市に移転します。
土田村がちょっと奥の方だったので、もうちょっと売っていくためには、お客様の多いところにと。

1897年になりますと、初代の名前を継いだ岩三郎というのが3代目なんですけども、家業を継ぎます。
それまではるつぼという釜が単体だったのですが、それをヨーロッパ式に連帯釜というものを作りました。
当然生産量も増加して、量産に成功しまして、より一般のお客様に、庶民に、ガラスの良さを伝えていく製造ができるようになりました。
ヨーロッパの方が文化が早いものですから、オートメーションも開発されているのですが3代目岩三郎はヨーロッパにできた機械なども取り入れてきています。

1927年には、3代目岩三郎の長男、正信が継ぎ、ドイツ式の機械を使ってよりレベルの高いガラスが作れるようになります。
それまで泡がたくさん入っていたようなところ、「白生地」といわれるより高精度な透明なガラスの道を築いていきます。



1961年、食器部門強化ということで、これもオートメーションの機械をヨーロッパから手にいれまして、これは日本では一番はじめに入れました。
ガラスのコップというのはなかなかなかったものですから、より庶民に使っていただけるような、生産を続けました。
そのあたりで『ルック』シリーズも生まれます。
1968年はルックシリーズの量産が開始されまして、量産を本格的にはじめます。
70年はカップ&ソーサーも開始され、、今に至ります。

今回お招きいただきまして色々考えたのですが、ガラスの製造工程をみなさんにご説明させていただきます。
どんな感じで作っているのか知っていただければと思います。

ガラスは何からできてるんだろう?というのが疑問としてあると思いますが、材料には3つあります。
まずケイ砂、ふつうの白い砂ですね、砂浜なんかの。ケイ砂、これが主原料になります。
砂をただ熱で、かなりの高熱なんですが...溶かそうと思っても難しいので、ソーダ媒というものを溶融材として使います。
これが鉛の場合、クリスタルのグラスになります。
コーラグラスはソーダ媒を使いまして、ソーダグラスの分類になります。
それと、かなりやわらかい状態になりますので、固めるために、溶融すると透明になる石灰石なども入れます。
これが3つの大きな原料です。

その他、カラーを出すために、いろいろな原料を加えています。
ガラスの色はインクみたいに色をたらして着色できるわけではないので、
コバルトをいれると青になるとか、いろいろな原材料がありまして、それを入れていきます。
主原料がケイ砂、副原料として、ソーダ媒、石灰。



原料を溶かしましていよいよ生産なんですけれども、生産の始めはよいガラスがなかなかできないんですね。
金型が冷えてしまったりとか、いい状態にもっていくまでに、泡が入ってしまうなど、ガラスとしてどうしても出てしまう点など、立ち上がりは難しいです。
色ガラスをつくる工程でも、カレットというガラスのくずができるんですが、溶かし戻して原料に加えることでよりガラスも溶けやすくなります。
そうして、工場のなかでもリサイクルできる優秀な素材なんじゃないかなと思います。
こちらが「ラムネ」の色を作ったときのカレットなんですが、こうしてためて、また使っていきます。
いろんな色を作っていくのは僕たちもやりたいのですが、カレットがたくさん出てしまうと生産に影響してしまいます。
工夫して、カレットをリサイクルしながら、いろんな色を出してきています。


さきほどお話した原料を、1350℃くらいの高い温度の窯で溶かします。
その窯からガラスのタネ、生地と呼んでいますが、それを職人の手で一個一個、巻き取ります。
うまく巻き取りができないと、「みゃくり」といいまして、筋状になったりしてしまうので、ここはもう職人の技でやってきています。
非常に表面は熱い状態でやっているので、汗をかきながら。

こちらが金型です。ターンテーブルの上で、ルックの場合は3丁金型を置いてやっています。
開けたり締めたりしながら生産する金型です。ここに先ほど巻き取ったガラスを入れていきます。
非常にアナログなんですけれども、ハサミで、金型に入れるコーラグラス一個分のガラスの量を目分量で、これも職人の技なんです。
そしてプレス成形です、これはてこの原理で、職人が一個一個押して行きます。
油圧なのでかなり力がいるんですが、きっちり、ガラスが中で成形されます。押されながら出来上がってきます。
コーラグラスの型は三ツ割なんですけれども、金型が縦に3つに割れておりまして、それをヒンジで締めます。
ただ押しただけではガラスがもれてしまいますので、それをとめるあおりという、メガネというものがありまして、全部の金型にとまっています。
あと、クランジャーという、矢型が上から降りてくるものがありまして、、、
金型に入れた時点で一個一個の重みは変わってきますが、底の肉厚なども、プレスの職人が調整していきます。



-山碕 勘ですか。

ほぼ勘ですね。それまでの職人とのやりとり、呼吸で。

金型から取り出した状態だと、ガラスは燃えている状態なんですね。
ガラスというのは、個体ではなくて、液体だっていう風に言われています。
常温で、冷めた状態でその形になっていますが、金型から出したばかりの200〜300℃の状態では燃えている状態です。
それを徐々にさまして行きます。
金型から出したばかりだとバリとか、割り線とかたくさんありますので、あぶりながら溶かし戻していきます。
ちょっと冷ましてから表面にバーナーを当てていくんです。



20丁くらい自動の回転機がありますので、一個一個のせまして、回転させながら、
口の部分などもバーナーであぶってやわらかく口あたりを良くしていきます。
バーナーを当てることで、それがハンドメイドの味というか、オートメーションの方とは違う仕上がりがコーラグラスの魅力でもあります。
この時、変形しないように注意しながらバーナーをあてていきます。
これを「ファイヤーポリッシング」というんですが、ガラスはあとから磨けないんですね。
ルックはカットガラス調なんですが金型でその状態を作り出してますので、あとから手をいれることができない商品です。
バーナーでなめらかにポリッシングしていきます。
そうすることで、ガラスは冷たいんですけども、暖かみのある仕上がりになっています。

ある程度あぶりましたら、またひとつひとつ目で見ながら、ハンドバーナーでととのえます。
この部分で仕上がりがほとんど決まってくるんですね、こうして金型でできるだけではなくってそのあともいろんな工程を経て作っております。

ガラスはそのまますぐ冷ましてしまうと割れてしまいます。外側と内側の温度差で割れてしまいます。
金型から出した200〜300℃から気温の20〜30℃に冷ますまで、「レアー」という除冷炉にいれます。
20m弱、長いものだと3時間くらい、コーラグラスで1時間半くらい、ゆっくりのスピードで徐々にさましていきます。

そして検品していきます。ふつうのタンブラーは検査機で検品しますが、
コーラグラスは手摘みといいますか、検品のお母さん方がたくさんいらっしゃいますので、一個一個検品をして、出荷につないでいきます。

手順としては以上です。
小さなグラスなんですが、いろんな状態を経てハンドメイドしてきております。

手作りでゆっくり作っていく方法で、復刻をしてきました。
捨てないような愛着を持てるようなグラスを作ることが、僕たちのガラスのロングライフデザインにつながるんじゃないかなと思っています。

けっこう分厚いガラスですので、重たくて使いにくいんですけども、大事に使っていただければちょっとの衝撃で割れたりとか、
そういうことはないものですから、そこもコーラグラスの良さなんじゃないかなと。

工程の方は以上です。



私どもの商品なんですが、今度はオートメーションの方でロングライフデザインのお話をさせていただきます。
このシリーズはまずGマークに選定され、12〜13年くらいたっていてロングライフデザイン賞を受賞した商品があります。
なんの変哲もないワイングラスとグラスなんですが。ホテルレストランのバンケットという市場がありまして、
そういう市場ですと、同じものを使い続けたいので、お客様の方から「作り続けるものを提案してくれ」と。
もちろん品質も問われますし、長年にわたってご支持をいただける商品です。

ガラスは分厚すぎると強化が入らなかったりしますが、うすめのものですといろいろな強化方法があります。
ガラスはキズがつくと割れやすいんですね。そこから割れていくんですけども、
キズがつきにくいような状態にするのが強化だというふうに考えていただければ分かりやすいと思います。
このシリーズは30アイテムくらいあり、シェリーグラスなど生産上、ハンドメイドにうつりかわっているものもありますが、
形はそのままに、ずっとつくり続けている商品です。
途中でやめてしまうという商品が多い中で、ほんとうに世の中の役に立っている商品なんじゃないかなと思っています。
バンケット市場ですと、使い続けて割れた時にすぐ替えられること、どうしても割れるものですので、買い替えができる価格というのも重要になってきます。
シオアパさんの方でもお取り扱いをいただいている商品です。




もうひとつ、『果実酒びん』というのがあって、ちょっと唐突かもしれないんですが... 毎年6月、梅の時期に梅酒をつけていただける商品です。
昭和の30年代に酒税法が改正されまして、家庭でお酒がつけられるようになったんですね。
非常にこれも、日本の文化に貢献している商品だと思っています。
ロングライフデザインということで、これがデザイン的に優れているかどうかっていうのは、あると思うんですが、
見た目のことだけではなくて、文化とか、「つけてみよう」というところにたずさわっていく商品を長くだすというのも、
大きな意味ではロングライフなプロダクト
なのではないかと考えます。

ちょうど来年、梅瓶が50周年になりまして、じゃあこの形だけでいいのかっていうのを模索しています。
やっぱり、自分たちの部屋に置きたいような商品を出していきたいなと思っています。
発売当初のものは、上の部分の波型の形状はちょうどその部分に泡ですとか、シワとか悪い部分が出やすかったのでそれを隠すためについています。
それを現代の物にも受け継いでいます。
今の梅瓶は、注ぎやすくするために中栓がついています。
この時はレードルといいましてひしゃくみたいな長い道具がついていました。
そんなマイナーチェンジをしながら50周年を迎えようとしています。

文化に関われるということと、大切に使っていただける見た目のデザインということを、大切にしたもの作りは、
60に参加してから改めて僕たちも気づいたところです。

オートメーションとハンドメイドはまたぜんぜん違うところがありまして、
なんで60でハンドメイドを扱ったかっていうと、原点に返りたいということがあります。
オートメーションですとやれることが限られるんですね、色がこんなにできなかったりとか。
透明のガラスが使いやすいとは思いますが、飽きられないよう、忘れないでくださいね、というのもありますし、
面白いと言っていただいて、出すたびにコレクションしていただいているお客様もいらっしゃることがすごく嬉しいなと思っています。

石塚硝子の説明は以上です。ありがとうございました。


〜アデリア60 コーラグラス これまで発売されたカラー 全17色〜

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